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「破傷風」 平戸地区家畜診療所 獣医師 飛永 崇晴

2023.02.20

診療所情報

今回は「破傷風」についてです。破傷風は身近に病原体が存在し、牛だけでなく人にも感染の可能性があり、時に死亡事故につながることもある恐ろしい病気です。
破傷風を引き起こす菌は破傷風菌(Clostridium tetani)といい、下記の特徴があります。

破傷風の特徴
①自然環境(土壌や水中)に広く存在する
②厳しい環境下でも芽胞(※)という形態によって何年も生存する可能性がある
③酸素がない環境を好み、動物体内で増殖すると神経毒を産生する
※芽胞…細菌の生育環境が悪化した際に形成される耐久細胞

破傷風菌の感染は、去勢や除角などの傷、釘や針金、木片などによる刺傷、子宮内の傷など酸素の届きにくい部位の傷から起きやすいと考えられます。
症状は、口周りや首、四肢などの筋肉が硬直する神経症状であり、硬直が呼吸筋に及ぶと呼吸できなくなり、死亡します。
対策として、感染初期であれば抗生剤などで治癒する場合もありますが、症状が進むと治療困難であるため、発症前の予防が重要です。
普段から牛舎周りの釘など鋭利な物を除去し、牛の外傷事故を防止することを推奨します。

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