「肥育牛ビタミンAコントロール」大村東彼地区家畜診療所 獣医師 柴原 聖一
2024.02.15
診療所情報皆さん御存知の脂溶性ビタミンAの話です。空気により酸化され、光により破壊されやすく、動物体のみに存在します。これが不足すると瞳孔散大を伴う盲目となり、骨の成長を妨げ、腸管や気管の粘膜表面から細菌やウイルスが侵入し易くなります。(既にお分かりかと思いますが)
濃厚飼料を多く給与されている体重の大きい子牛(血中ビタミンA濃度80IU/dl程度)は、十分粗飼料を給与された子牛(血中ビタミンA濃度100~120IU/dl以上)より、すぐに血液中ビタミンA濃度が低下し、欠乏症状を呈する確率が高いといわれています。それを防ぐため、肥育前期(生後7~12・13ヶ月齢)のビタミンAの飼料添加量は20,000IU/日、肥育中期(生後14~23ヶ月齢)は3,000~5,000IU/日(ビタミンAを制限するといっても、全くのゼロの状態で長期間肥育するのは危険!!)、肥育後期(生後24ヶ月齢~出荷)は5,000~8,000IU/日が推奨されています。
血液中ビタミンA濃度が80IU/dl程度の牛に対してビタミンAを全く含まない飼料を給与した場合、約3ヶ月後には血液中ビタミンA濃度がほぼ危険域(30IU/dl前後)に達するとのことなので、測定機関(民間団体 費用1検体当たり1,200円[税別])による定期的な測定をお薦めします。