「臍帯炎を予防しましょう」佐世保地区家畜診療所 獣医師 小芦 賀洋
2024.09.19
診療所情報皆さんは出生間もない子牛の臍が腫れている状態を見たことがありませんか?今回は現場でもよく遭遇する臍帯炎についてです。臍帯炎は出生後、へその緒が細菌感染により退縮しないものを臍帯炎(さいたいえん)と呼びます。
分娩後の臍帯は完全に乾燥するまでは細菌が付着、増殖しやすく内部の管腔も閉鎖していないため、細菌が入りやすく感染症を引き起こしやすい状態です。そのため、分娩舎の不衛生、不適切な臍帯消毒、その他不適切な初乳の投与による免疫力の低下や難産による臍帯の離断などでも発生しやすいとされています。
臍帯炎の症状は臍部の腫れ、痛み、熱感などがあります。さらに細菌感染が全身に拡がると慢性的な肺炎や下痢、多発性関節炎など様々な感染症の原因となります。
臍帯炎は予防が大事です。経営的にも大きな損失になるため、分娩舎の衛生管理、分娩監視、適切な初乳管理、適切な臍帯の消毒を行いながら、早期の予防・発見・治療を心がけましょう。