ハエ対策について 平戸地区家畜診療所 獣医師 山本 亨
2022.04.01
技術情報今回は暑い時期に非常に厄介なハエ対策についてお話したいと思います。まず、畜産で特に問題となるハエは「イエバエ」と「サシバエ」でしょう。どちらもハエの仲間ですが、最大の違いは食べ物です。イエバエは有機物を自分で分泌した消化液で消化し、それを吸収します。サシバエは雌雄ともに吸血して栄養にします。頭部をよく見ると吸血する針のような突起物があるので違いがわかります。
対策としては、主に幼虫(ウジ)対策と、成虫対策に分かれます。幼虫対策としては、堆肥等発生の可能性のある場所に脱皮を抑制する薬を散布して幼虫を殺します。この薬剤は堆肥に散布して浸透させますが、深部には浸透しませんので、一度だけの散布では効果がありません。春頃から堆肥を積むときなど定期的に何度も散布してください。
成虫対策は、ベイト剤と呼ばれる誘因殺虫剤を使用する方法と、成虫に直接噴霧する方法があります。ベイト剤は殺虫税分を含むハエの餌ですので、吸血するサシバエは効果がありません。直接噴霧する方法は即効性がありますが、同じ薬を連続して使用することで薬剤耐性を持つ個体を発生させてしまうことがあるので、毎年薬を変えていくことが必要になります。
対策の大まかな要点を書きましたが、薬剤だけの対策では発生を抑え込むことはできません。畜舎周囲の草刈り、堆肥の管理等ハエが発生しない環境づくりも大切です。
どちらにしても、ハエ対策は、幼虫、成虫、環境に対して総合的に行うことが大切です。