子牛の臍帯(さいたい)炎を予防しましょう!! 平戸地区家畜診療所 獣医師 田中英隆
2018.06.11
技術情報農家の皆様、「あれ、子牛のへそが腫れている」と気づいた経験はないでしょうか。
これは、へその緒(臍帯)が細菌に感染して炎症を起こした臍帯炎という病気です。
この場合、腫れているところを切開して細菌により化膿した内容物を出し、抗生物質の投与などの治療を行いますが、一度炎症を起こし腫れるとすぐには完治しません。
併せて、子牛に治療というストレスをかけることとなります。
へその緒は、妊娠中に母牛から酸素や栄養をもらうためのものですが、生まれた後は不要となるため、お産の途中で切れてしまいます。このため、子牛のへその緒は体外に露出した状態であり、免疫機能も十分でないため、へその緒が感染の入り口となってしまいます。このことから、子牛が生まれたら、最初に感染から守らなければならないのはへその緒です。
感染してから治療するより、感染させないようにすることが最も重要で、一つでも病気を減らすためにも、以下の三つの対策をお願いします。
(1)適切なへその緒の消毒をすること
へその緒の消毒には、ポピドン・ヨード、クロルヘキシジンが効果的で、へその緒をこれらの消毒液に浸すようにするのがベストな方法ですが、無理な場合は、へその緒にスプレーで十分かける方法もあります。
(2)確実に初乳の給与をすること
初乳には、子牛が感染から身を守る免疫物質が含まれていますので、飲んだことを確認してください。
(3)分娩室を衛生的に保つこと
分娩室に敷料がなく、糞便だらけであれば、直接、へその緒に糞便が接触しますのでへその緒が乾くまでは、十分な敷料を与え清潔に保つようにしてください。