導入牛に検疫を
2016.03.01
技術情報五島地区家畜診療所
佐野 隆史
検疫とは、特定の国や施設に出入りする人、輸出入される動物や植物及び食品等を一定期間隔離した状況に置いて、伝染病の病原体などに汚染されているか否かを確認することである。(ウィキペディアより)
牛を施設の外から導入するときに、最も気をつけなければいけないのは、ウイルス性疾患です。ウイルスと言われてもピンとこないかもしれませんが、人間でいうところの「風邪」がそれに当たります。発熱のため元気、食欲がなくなり、ゴホゴホ咳をし始め、鼻水を垂らし、ウイルスの種類によっては下痢、ときには血便を呈します。離乳後の子牛から育成の若い牛までみるみるうちに広がっていくのがウイルスの特徴です。年をとった牛は免疫を持っているし、生後三ケ月までの子牛は初乳に含まれる抗体に守られているため、感染しにくいからです。
ウイルスが厄介である理由に、伝染が速いことと、もう一つ、有効な薬がないことが挙げられます。対症療法により症状を緩和することはできますが、十日間ほど食欲不振が続きます。出荷前の子牛が感染すると増体への影響から経済的損失が大きいと思われます。
ウイルスの予防は主にワクチンによって行います。(表①)に示したとおり、RS、IBR、パラインフルエンザ、BVD-MD、アデノは通常、子牛のセリ市の一ヶ月前に接種する五(六)種混合のワクチンに含まれているため、セリ市で購入した牛であれば、これらのウイルスの持ち込みのリスクは小さいと考えられます。それ以外のウイルスは比較的病原性が低いものの、ワクチン接種をしていない分、流行の機会は多いと考えられます。管内でも、導入牛が持ち込んだと思われるコロナウイルスの感染が舎内に広がるケースが時折見られます。
このような事態を防ぐのに必要なのが、「検疫」の考え方です。先に挙げたウイルスの潜伏期間(感染してから症状が現れるまでの日数)は2~7日ほどなので、導入牛を一週間ほど隔離飼育して、食欲不振、発咳、鼻汁、下痢などの症状がないかを観察します。牛房は感染し易い子牛や育成牛から離すことが大事です。そして、そのような症状を見た場合は、その牛房に踏込槽を設置したり、除糞後に衣服を替えたりして、感染を広げないよう工夫する必要があります。ウイルスは鼻汁やヨダレ、糞便に多く含まれるため、これらに極力触らないようにして下さい。
検疫とは、特定の国や施設に出入りする人、輸出入される動物や植物及び食品等を一定期間隔離した状況に置いて、伝染病の病原体などに汚染されているか否かを確認することである。(ウィキペディアより)
牛を施設の外から導入するときに、最も気をつけなければいけないのは、ウイルス性疾患です。ウイルスと言われてもピンとこないかもしれませんが、人間でいうところの「風邪」がそれに当たります。発熱のため元気、食欲がなくなり、ゴホゴホ咳をし始め、鼻水を垂らし、ウイルスの種類によっては下痢、ときには血便を呈します。離乳後の子牛から育成の若い牛までみるみるうちに広がっていくのがウイルスの特徴です。年をとった牛は免疫を持っているし、生後三ケ月までの子牛は初乳に含まれる抗体に守られているため、感染しにくいからです。
ウイルスが厄介である理由に、伝染が速いことと、もう一つ、有効な薬がないことが挙げられます。対症療法により症状を緩和することはできますが、十日間ほど食欲不振が続きます。出荷前の子牛が感染すると増体への影響から経済的損失が大きいと思われます。
ウイルスの予防は主にワクチンによって行います。(表①)に示したとおり、RS、IBR、パラインフルエンザ、BVD-MD、アデノは通常、子牛のセリ市の一ヶ月前に接種する五(六)種混合のワクチンに含まれているため、セリ市で購入した牛であれば、これらのウイルスの持ち込みのリスクは小さいと考えられます。それ以外のウイルスは比較的病原性が低いものの、ワクチン接種をしていない分、流行の機会は多いと考えられます。管内でも、導入牛が持ち込んだと思われるコロナウイルスの感染が舎内に広がるケースが時折見られます。
このような事態を防ぐのに必要なのが、「検疫」の考え方です。先に挙げたウイルスの潜伏期間(感染してから症状が現れるまでの日数)は2~7日ほどなので、導入牛を一週間ほど隔離飼育して、食欲不振、発咳、鼻汁、下痢などの症状がないかを観察します。牛房は感染し易い子牛や育成牛から離すことが大事です。そして、そのような症状を見た場合は、その牛房に踏込槽を設置したり、除糞後に衣服を替えたりして、感染を広げないよう工夫する必要があります。ウイルスは鼻汁やヨダレ、糞便に多く含まれるため、これらに極力触らないようにして下さい。