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牛がハゲた!牛の毛ジラミのお話 対馬地区家畜診療所 獣医師 工藤 浩行

2019.03.11

技術情報

新緑の季節、ツクシもタンポポも牧草畑のイタリアンもいっせいに伸びてきて新緑がまぶしい季節。でも、私の髪の毛はいっこうに生えてくる兆しもなく、ちょっとへこんでいると、農家から電話「牛の毛が抜けたので、なんとかして」。自分の髪の毛を心配してるのに。

春先は牛のハゲの診療依頼がけっこう多いです。結論から言うと、春先の牛のハゲの原因は、ほとんどがウシハジラミという虫で、秋から冬に大発生するので、春になって気づいても、もう手遅れです。一度抜けた毛は、もうくっ付きません。ということで、今回はウシハジラミのお話をします。

ウシハジラミは1ミリ位の小さな昆虫で、牛の毛の間の皮膚の上でしか生きて行けない弱い虫で、牛の皮膚から落ちたらすぐ死んでしまいます。普通のシラミと違い吸血はせず、牛の皮膚の分泌物やフケをモグモグ咀嚼(そしゃく)します。 夏場は暑いし、毛の抜け替わる時期は毛と一緒に落ちて死んでしまうのであまり数は増えませんが、秋から春先にかけて大発生します。これが大問題です。ウシハジラミには、この季節が一番過ごしやすいようで、どんどん卵を産んで増えてゆきます。しかも、この虫、単為生殖するので、雌だけでも増えます。吸血はしなくても肢はトゲトゲだし、大発生されると牛はたまりません。痒くて壁をこすり、毛は抜け、爛(ただ)れ、ストレスで食欲は落ちて痩せてしまいます。これが問題です!

なので、ハジラミが大発生する前の秋のうちに駆虫することが大切です。獣医さんが良い薬を処方してくれますよ!

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