補償対象は
補償対象の家畜は、次のとおりです。加入する場合は年齢制限があります。
補償対象家畜 | 引受方式 |
---|---|
牛 | 出生後第6カ月目以上の牛。ただし、子牛や胎児を選択した場合は、出生後第6カ月目未満の子牛および種付け後240日以上の胎児を対象とすることができます。 |
馬 | 出生の年の末日を経過した馬。 |
豚 | <種豚> 出生後第6カ月目以上の繁殖豚(母豚および種雄豚)。 <肉豚> 出生後第20日の日(その日に離乳していないときは、離乳した日)以上の肉豚。ただし、群単位肉豚の場合は出生後第8月の月の末日までのもの。 |
加入と引受(加入)方式は
組合に加入を申し込み、組合が承諾することにより加入できます。補償方法は、死亡や廃用となった家畜を補償する死亡廃用共済と病気やけがの治療費(獣医診療費)を補償する疾病傷害共済に分かれます。加入の仕方は次の種類があり、対象家畜区分ごとに契約します。
(1)死亡廃用共済
対象家畜 | 引受方式 | 加入の仕方 | |
---|---|---|---|
牛 | 搾乳牛、育成乳牛(子牛等選択あり)、育成乳牛(子牛等選択なし)、繁殖用雌牛、育成・肥育牛(子牛等選択あり)、育成・肥育牛(子牛等選択なし) | 包括共済 | 農業者ごと対象家畜の区分ごとに、1年間の飼養計画を基に飼養予定の全頭で加入します。特定肉豚は共済掛金期間開始の時(期首)に存在する対象肉豚で加入します。群肉豚は離乳または導入が同じ群をまとめて群単位で加入します。 |
馬 | 繁殖用雌馬、育成・肥育馬 | ||
豚 | 種豚、特定肉豚、群単位肉豚 | ||
牛 | 乳用種種雄牛、肉用種種雄牛 | 個別共済 | 家畜1頭ごとに加入します。 |
馬 | 種雄馬 |
※死亡廃用共済は、掛金期間満了後に1年間の飼養頭数を整理します。期首に予定のなかった導入畜などがあった場合は、共済掛金と共済金を再計算し精算します(肉豚を除く)。
※包括共済とは、対象となる家畜を一括して引き受ける仕組みをいい、一括する家畜を「包括共済家畜区分」として分類して引き受けます。
※包括共済(群単位肉豚以外)は、事故の一部を補償の対象としない方式(事故除外方式)を選択することもできます。その場合、事故の一部を除外するのに見合う分の共済掛金が割引されます。
(2)疾病傷害共済
対象家畜 | 引受方式 | 加入の仕方 | |
---|---|---|---|
牛 | 乳用牛(子牛選択あり)、乳用牛(子牛選択なし)、肉用牛(子牛選択あり)、肉用牛(子牛選択なし) | 包括共済 | 農業者ごと対象家畜の区分ごとに、共済掛金期間開始の時(期首)に存在する対象家畜で加入します。 |
馬 | 一般馬 | ||
豚 | 種豚 | ||
牛 | 乳用種種雄牛、肉用種種雄牛 | 個別共済 | 家畜1頭ごとに加入します。 |
馬 | 種雄馬 |
〈包括共済家畜区分〉
対象家畜の要件 | 包括共済家畜区分 | ||
---|---|---|---|
死亡廃用共済 | 疾病傷害共済 | ||
牛 | 満24月齢以上の乳用種の雌牛で搾乳の用に供されるもの | 搾乳牛 | 乳用牛 |
満24月齢未満の乳用の雌 | 育成乳牛 | ||
牛の胎児のうち乳牛 | - | ||
満24月齢以上の肉用牛の雌で繁殖の用に供されるもの | 繁殖用雌牛 | 肉用牛 | |
搾乳牛、繁殖用雌牛、育成乳牛および種雄牛以外の牛 | 育成・肥育牛 | ||
牛の胎児のうち乳牛以外 | - | ||
馬 | 満36月齢以上の馬の雌で繁殖の用に供されるもの | 繁殖用雌馬 | 一般馬 |
繁殖用雌馬および種雄馬以外の馬 | 育成・肥育馬 | ||
豚 | 繁殖用の豚で、出生後5月の末日を経過したもの | 種豚 | 種豚 |
肥育の目的とする豚で、出生後第20日の日または離乳の日のいずれか遅い日から第8月の末日までのもの(特定肉豚の場合には上限はありません) | 群単位肉豚特定肉豚 | - |
共済掛金期間は
共済金支払いの対象となる補償期間(共済掛金期間といいます)は、掛金の支払いを受けた日の翌日から1年間です。ただし、群単位肉豚は、群ごとに出生後第20日(または、離乳した)の日から出生後第8月の月の月末までとなります。
補償金額(共済金額)は
共済金額は、共済事故が発生したときに組合が支払う共済金の最高限度額のことで、次のように算定します。
(1)死亡廃用共済
共済価額の2割(肉豚は4割)から8割の範囲で、補償割合(付保割合)を農業者が選択します。補償割合(付保割合)は共済掛金期間中は原則一定となります。
共済金額=共済価額×付保割合
※共済価額は共済掛金期間中(1年間)に飼養する家畜の評価額の合計額となります。引受に使用する家畜の評価額は、固定資産的家畜(搾乳牛、繁殖用雌牛、繁殖用雌馬、種豚、種雄牛、種雄馬)と棚卸資産的家畜(育成乳牛、育成・肥育牛、育成・肥育馬)では、個体の評価の仕方が異なります。固定資産的家畜は、掛金期間開始(以下、期首という)時、または導入時点の月齢で評価しますが、棚卸資産的家畜は、掛金期間満了時点の月齢で評価を計算します。個別共済では、期首時の月齢から評価額を計算しこれがそのまま共済価額となります。
※個体の評価額は、組合の区域内で飼養される家畜の取引が主に行われる家畜市場における同種同類の家畜について、月齢別の過去1年間の取引価格を基準に算定されます。
※肉豚は離乳時点の月齢を基準に一律の評価額が使用されます。
(2)疾病傷害共済
死亡廃用共済と異なり、病傷共済金支払限度額を超えない範囲で農業者が申し込みます。「0<共済金額≦病傷共済金支払限度額」になります。
病傷共済金支払限度額=期首の引受価額×病傷共済金支払限度率×短期係数
※期首の引受価額=期首時点に飼養している対象家畜の合計価額(「農林水産大臣が決めた金額×引受頭数(期首時点の飼養頭数)」が上限)
※農林水産大臣が決めた金額は50万円です。
共済掛金は
共済掛金には国の負担があるので、農業者が負担する共済掛金は次のようになります。
※危険段階別共済掛金率は全ての引受で設定されます。(死亡廃用共済は21段階、疾病傷害共済は41段階)
※各段階は損害率の大きさにより区分されます。共済掛金標準率を一定の割合で各段階へ振り分けて危険段階別共済掛金率を設定します。この危険段階別基準共済掛金率も基に危険段階別共済掛金率は設定されます。
※共済掛金標準率は、組合ごと、共済掛金区分ごとに、農林水産大臣が過去一定年数(原則3年)の被害率を基礎に定め、3年ごとに改定されます。(危険段階も3年ごとに設定します)
※農業者ごとの掛金率(どの段階の危険段階区分を当てはめるか)は、過去10年間の損害率に応じて毎年見直します。
※共済掛金の牛・馬50%、豚40%を国が負担しています。
共済事故の対象は
共済金の支払い対象となる共済事故は、次のようになります。
(1)死亡廃用共済
〈死亡事故(と殺を除く)〉
成牛、子牛、胎児、馬、豚の死亡
〈廃用事故〉
成牛、子牛、馬、種豚の廃用
※事故除外方式を選択した場合は、その除外した事故については共済金の支払対象外となります。
(2)疾病傷害共済
〈病傷事故〉
成牛、子牛、馬、種豚の疾病や傷害による診療費
共済金の支払いは
(1)死亡廃用共済
次のAまたはBのうち、いずれか小さい額が共済金として支払われます。
過去の事故が多かった場合は支払限度額が設定され、特定事故(火災、自然災害、伝染病(※)以外の一般事故については限度額の範囲内で共済金が支払われます。
A=(事故になった家畜の評価額-肉皮等残存物価額-補償金)×付保割合
B=事故になった家畜の評価額-肉皮等残存物価額-補償金-法令殺に伴う手当金
※伝染病…家畜伝染病予防法第2条第1項に規定する家畜伝染病で患畜または疑似患畜の場合および同法第4条第1項に規定する届出伝染病で真症の場合になります。
※Aの場合の肉皮残存物価額は、事故になった家畜の評価額の2分の1が限度となります。ただし、牛の廃用事故については、基準額を下回った場合は基準額となります。
※事故になった家畜の評価額は、棚卸資産的家畜は事故時点の評価額、固定資産的家畜は期首(または導入)時点の評価額を使用します。
(2)疾病傷害共済
治療に要した費用(診療費)が共済金となり、共済金額に応じて農業者ごとに給付限度額の範囲内で共済金が支払われます。
組合の家畜診療所を利用した場合は、診療費と共済金が相殺されます。
※共済金算定基礎になる診療費に初診料を含めたうえで、診療費の9割を共済金とします。
ご注意下さい!
こんなときは、共済金が支払われなかったり、減額される場合があります。
・事故(死亡、廃用、病気、けが等)が起こったことを組合に通知しなかったとき。
・新規加入や導入してから2週間以内に死亡、廃用および病気になったとき。
・支払限度額を超えたとき。(死廃共済金支払限度額が設定された高被害率の農業者については、限度額までしか支払われません)
こんなときは、最寄りの支所に通知する必要があります。
・養畜の業務の著しい変更(農場の譲受け、畜舎の増築等)があるとき。
損害防止事業
事故の発生を未然に防ぎ、損害の拡大を抑えるために特定損害防止事業と一般損害防止事業を行います。
家畜診療所について
加入家畜の診療等を行うため、県内には組合営8カ所の家畜診療所が設けられています。
家畜診療所では、主に次のような業務を行っています。
①加入家畜の病傷事故についての診療
②損害防止
③家畜の引受検査・評価
④家畜共済の普及と加入推進
⑤家畜防疫などの畜産諸対策に対する協力
※損害防止とは、家畜の病気や死亡・廃用事故などを未然に防ぎ、損失を最小限にとどめるための措置のことをいい、家畜診療所では、乳房炎や繁殖障害などの検診を計画的に実施しています。